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ダイエットは「食欲を抑える」だけでよいのでしょうか?

~マンジャロが話題の今、体質から考えるダイエット~

最近、「マンジャロ」という注射薬を使ったダイエットが話題になっています。

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GLP-1とGIPという2つのホルモンの働きに関係する薬で、本来は2型糖尿病の治療薬です。血糖値を改善するだけでなく、食欲を抑え、満腹感を得やすくすることで、体重を減らす作用があります。同じ成分で肥満症の治療薬として承認されている「ゼップバウンド」もあります。

ただし、ゼップバウンドを健康保険で使用するには、BMIや合併症などの患者さん側の条件に加え、医療機関にも一定の要件があります。美容やダイエット目的でマンジャロを使用する場合は保険適用外の自費診療となります。

また、吐き気、下痢、便秘などの消化器症状をはじめとする副作用もあります。インターネットなどでの個人輸入や自己判断による使用は避けてください。

では、痩せたい人は、まず食欲を抑える薬を使えばよいのでしょうか?

私は、もう少し広い視点で考えることが大切だと思っています。

太る原因は「食べすぎ」だけではありません

体脂肪が増える基本的な仕組みは、食事から取り入れるエネルギーが、身体で使うエネルギーを上回ることです。

しかし、なぜそのような状態になるのかは、人によって違います。

① 食欲・食べる量の問題

食欲が強い、つい間食してしまう、ストレスがたまると食べてしまう、甘いものがやめられないなど。

食欲には、ストレスや気分など精神的な影響が強い場合と、そうでない場合があります。

単純に「食べる量を減らしましょう」と言うだけでは、なかなか改善しないこともあります。

② 代謝・エネルギー消費の問題

筋肉量や運動量が少ない、疲れやすくて身体を動かせない、睡眠不足で日中の活動量が落ちているなど。

身体が使うエネルギーには、安静にしていても消費するエネルギーと、運動や日常生活で使うエネルギーがあります。同じ量を食べていても、これらの違いによって体重への影響は変わります。

漢方では、身体の働きを「冷えやすいか、熱がこもりやすいか(寒熱)」「体力が充実しているか、消耗しているか(虚実)」といった体質の面からも考えます。

③ 胃腸・便通の問題

便秘やお腹の張り、胃腸の不調なども大切です。

便秘が解消して体重が減っても、それは必ずしも体脂肪が減ったわけではありません。また、便通がよくなるだけで痩せるわけでもありません。

ただ、胃腸の調子を整えることは、無理なく食生活を改善するうえで役立ちます。

④ 水分のたまりやすさ(水滞)

夕方になると足がむくむ、朝は顔がむくむ、体重が日によって大きく変わる。

こうした場合は、体脂肪とは別に、身体にたまった水分が体重に影響している可能性があります。

漢方では、これを「水滞」という視点から考えます。

痩せにくくしている、別の原因があることも

例えば、睡眠時無呼吸症候群です。

いびきが強く、睡眠中に何度も呼吸が止まっていると、十分に眠ったつもりでも疲れが取れず、日中の活動量が落ちることがあります。

また、慢性的な痛み、更年期の変化、服用している薬などが、体重管理に影響することもあります。

さらに、脂肪がどこにつくかも重要です。

お腹の内臓脂肪が増える人と、お尻や太ももの皮下脂肪が増える人では、健康上のリスクが異なります。そのため、体重だけでなく、腹囲や体脂肪の状態なども確認することが大切です。

漢方で、まず身体の状態を整えてみませんか?

漢方では、同じ肥満でも、食欲が強い人、疲れやすくて活動量が少ない人、便秘がちな人、むくみやすい人など、それぞれの状態に合わせて治療を考えます。

例えば、防風通聖散、大柴胡湯、防已黄耆湯などは、肥満症に用いられる代表的な漢方薬です。しかし、どの薬が合うかは人によって異なります。

また、肥満そのものだけでなく、ストレスによる過食、冷え、胃腸の不調、睡眠の問題など、体重管理を難しくしている要因にも目を向けます。

もちろん、漢方薬を飲めば誰でも痩せるというわけではありません。食事や運動などの生活習慣を見直すことが基本ですし、漢方薬にも副作用があります。

それでも、体重だけに注目するのではなく、なぜ食べすぎてしまうのか、なぜ身体を動かせないのか、何がダイエットの妨げになっているのかを考えることには意味があります。

なお、美容目的の減量そのものは保険診療の対象になりません。一方、肥満症や便秘、むくみ、胃腸の不調など、医学的に治療が必要な病気や症状があれば、診断や薬の適応に応じて、健康保険で漢方治療を受けられる場合があります。

まずは、痩せにくい原因を一緒に考えましょう

マンジャロのように食欲を抑える薬は、適切な患者さんにとって有力な治療の選択肢です。

しかし、食欲を抑えることと、健康的に痩せて、その体重を維持することは同じではありません。

薬で食べる量が減っても、筋肉まで減ってしまっては困りますし、睡眠や運動不足などの問題が残っていれば、体重管理は難しくなることがあります。

いきなり高額なダイエット治療を始める前に、まずは自分の体質や身体の困りごとを確認してみませんか?

必要な病気や症状は保険診療の範囲で治療し、食事・運動・睡眠を整える。そのうえで、さらに減量治療が必要かどうかを考える。

そんな順番のダイエットも大切だと、私は思っています。

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